肺がん
現在死亡数1位。
予防
まずは禁煙で予防です。
当院でも禁煙を強くすすめます。従来多かった扁平上皮癌や、少なからず見つかり予後不良は小細胞肺がんはタバコの影響を強く受けています。
しかし近年の肺がんは腺癌が多く、禁煙だけでは予防しきれないのも事実です。
診断・治療
次いで早期発見が重要です。こまめな検診。数年に1回のCT検診で早期発見・早期治療によりStageⅠAであれば、80%以上の生存率が期待できる可能性があるのです。
当院では、ハイリスク者を中心に胸部X線をこまめに撮影し、また、適宜外部提携施設で単純CTを撮影し放射線医の読影ともに、当院CT検診認定医・呼吸器専門医・呼吸器外科専門医である私が読影・フォロー致します。
癌を疑えば積極的に生検~根治手術へと移行し、必要であればご希望のハイボリュームセンター、帝京大学病院やご希望の施設へ紹介致します。
胃がん
予防
日本人の胃がんの90%以上はピロリ菌に関連した慢性胃炎を背景に発生してきます。即ち除菌は胃癌撲滅への重要かつ簡潔な方策です。ピロリ菌は生後5歳までに母(父)から子育ての過程で感染すると言われています。母親・父親になる前、即ち妊娠する前に、20歳くらいには一度慢性胃炎・ピロリ菌のチェックと除菌を推奨します。
除菌は1週間の内服治療で2/3の患者さんが1次除菌に成功し、残りのほとんどの患者さんが2次除菌で成功します。
ヘリコバクター学会認定医の我々としては、より除菌率の高いタケキャブを用いた除菌を1次から推進します。中高の学校では教えてくれませんが、当院itokcから啓蒙・実践していきたいと思っています。
治療
胃がんは何といっても早期発見・早期治療です。内視鏡治療(ESD)の発展により、早期発見による最大のメリットは胃切除術をせずに根治可能な例が増えているという事です。
癌家系・慢性胃炎・除菌後などハイリスク患者さんを定期的に、高感度で辛くない経鼻の内視鏡(レーザー光使用)にて、負担が少なく、質の高い精査が可能と考えます。
胃腸科専門医の我々に一度御相談下さい。
また今後は、胃がん検診においても、経鼻内視鏡は大きな役割を果たすと考えており、推進していきたいと考えております。
検査にて必要に応じて、ご希望のハイボリュームセンター、帝京大学病院やご希望の施設へ紹介致します。
乳がん
我が国の女性の乳癌罹患率は、1975年以降増加し続けています。年齢別にみた女性の乳癌罹患率は30歳代から増加をはじめ、40歳代後半から50歳代前半でピークを迎えます(乳癌診療ガイドラインより)。乳癌発症リスクを増加させるものとしてアルコール、喫煙、閉経後の肥満、高身長、閉経後の女性ホルモン補充療法、乳癌家族歴、糖尿病の既往などが挙げられます。乳製品、大豆製品、イソフラボン、脂肪、緑茶、など食事関連要因については、可能性はあるものの、多くがまだ証拠不十分です。乳癌予防として個人で実践できるのは、アルコール摂取を控える、禁煙、体重管理、身体活動量を増やすなど生活習慣を改善することと、定期的に検診を受けることです。しかし、我が国のがん検診受診率は全体で約40%と低迷しており、中でも乳がん検診受診率は約26%と低さがひときわ目立ちます。とくに北区は14.7%と全国平均を大きく下回っています!
乳がん検診受診率が低い原因に「時間がない」、「検査が苦痛」、「近くに検診施設がない」、「必要性を感じない」、「受けるのを忘れた」などが挙げられます。我が国の乳癌検診はマンモグラフィによる検診を原則としていますが、費用が高額なことからマンモグラフィを持たない検診施設が少なくありません。当院ではデジタルマンモグラフィを導入しました。また、組織の硬さを視覚的に判定できるエラストグラフィを備えた超音波診断装置もあります。超音波検査は乳腺の濃度に影響を受けないため、若い方や高濃度乳腺の方に適しています。
当院ではマンモグラフィと超音波検査の併用による年1回の乳がん検診をおすすめしております。超音波による乳がん検診は、まだ国の指針には入っていませんが、現在、J-startという研究によってマンモグラフィと超音波検査の併用による乳がん検診が有効かどうか、検証がすすめられています。(http://www.j-start.org/index.html)。
当院では、女性医師・女性スタッフによる乳がん検診をほぼ毎日受けることができます(土曜のみ完全予約制)。キッズスペースもあります。仕事、育児、介護などで忙しく、自分の健康が後回しになりがちな女性のみなさまが安心して乳がん検診を受けられるように、便利で明るくきれいな空間を提供し、プライマリな乳がん検診の普及につとめてまいります。生検、精査、手術が必要な場合には、すみやかに専門の施設にご紹介させていただきます。
大腸がん
大腸がんも食生活の欧米化により増えております。
大腸がんは内視鏡で観察可能なため、大腸内視鏡が早期発見に有効です。便潜血によるスクリーニングでも多くの大腸がんが陽性に出るため、便潜血が検診で広く行われてきました。
しかしながら、便潜血は、痔核などでも陽性にでるため、特異度が高くはありませんが、感度は良好です。しかし、大腸がんは腺腫によるポリープ~経時的に異形成、高度異型性、そして表在癌~進行癌となる多段階発癌が多いことを考えると、本当の意味での早期診断は、早期発見というより腺腫の段階で発見し異型度が高くなるポテンシャルのあるものは早期に目を摘むことが必要です。
このために我々は大腸内視鏡をお勧めします。しかしながら、全国民が毎年大腸カメラを行ったら、とても医療機関・医療費はパンクします。スクリーニングとして、何年に一度が最も有効かは、定説はありませんが、個人的には35歳~45歳までには1度受検し、ポリープがなければ5年に1度のフォロー、切除不要なポリープがあった場合は1~2年ごとにフォローをお勧めしたいと思います。
近年はCTを使った仮想内視鏡も発展しており、提携した検査センターでの予約・撮影をしていただき、放射線科の読影と、我々の解釈で精査加療するか、内視鏡観察や治療を行うか、を判断させていただきます。
胃腸科専門医の我々に一度ご相談下さい。
ポリープ・早期大腸がんは内視鏡治療の良い適応でもあり、当院で切除困難な大きめの病変などは、適切なハイボリュームセンター、もしくはご希望の施設へご紹介させていただきます。
食道がん
食道がんのうち、日本人に多い扁平上皮癌は酒+たばこにより惹起され、男性に多く認められます。この病気の難点はOpeそのものが、頸部・胸部・腹部3領域に及び、声(反回神経)や、栄養など大きな侵襲の手術になりかねません。また再発も多く認められます。
最近は抗がん剤・放射線と組み合わせた集学的治療もある程度効果が高くなったものの、やはり人生を大きく変えてしまう可能性のあるのが進行食道がんです。しかしながら早期で見つかった場合、内視鏡的に粘膜下剥離・切除術で根治可能な症例も増えています。技術・機器の向上もあり適応範囲も拡がりつつあります。したがって、食道がんは予防+早期発見がきわめて有効であると考えます。
当院の経鼻内視鏡ではBLIという早期食道がんにみられる微細な血管の増生を明瞭に捕らえることが可能です。これをルーチン化することで、内視鏡検査が”胃カメラ”のみにとどまらず、非常に良い食道病変の検査をかねる事が可能となります。
また、逆流性食道炎、バレット食道、など欧米化に伴う腺癌も内視鏡で鋭敏にとられることが可能となり、必要があれば生検査(組織を採取して病理検査に委ねること)もその場で可能であります。この結果は、信頼できる病理医の診断を得て約1週間~10日で結果が判明するため、治療が早期に行えます。
膵癌
頻度は高くありませんが、検診でも早期発見がもっとも困難で、進行が早く、抗がん剤が利きにくい、再発転移を早期に来たしやすいという特徴を持つ、脅威の癌です。
MRI、CT、超音波、PETでもそれぞれ微小なものを発見することは容易ではありません。
しかしながら、我々の専門領域の1つである膵癌の早期発見こそ、今後の我々の取り組むべき課題だと位置づけております。膵癌は直接組織を採取する、内視鏡で確認するということがほぼ難しい臓器です。細胞レベルでは超音波内視鏡下の穿刺で膵腫瘍内部の組織を採取する技術は目覚しく向上しておりますが、これは腫瘍が認識されており、ある程度大きなものに限られます。
現時点での対応策
- リスクファクターに注目する(慢性膵炎、膵癌の家族歴、他の内分泌腫瘍)
- 糖尿病の悪化時に特に着目する
- 超音波で観察しにくい方(腸管ガス・脂肪など)は、CT、造影CTを推奨する提携した画像クリニックで撮影し、放射線科の目と共に自ら読影する
- 随伴する形態変化の経時変化を追う(粘液性の膵のう胞、膵管の拡張など)
- 皮膚黄染・痒み・白色便・背部痛・右季肋部痛などの症状に着目する
などの複数の切り口で目を光らせる必要があります。人間ドックや、かかりつけ医でありながらも、膵癌は早期にみつけられないことが多く見られます。不安があれば早めにご相談いただくことをお勧めします。
膵癌の手術後の成績(重篤な合併症)は近年改善傾向であり、抗がん剤との修学的治療により生存率も改善されつつあります。新規抗がん剤プロトコルの参入により、今後のさらなる改善も見込める時代です。
消化器病・消化器外科専門医・肝胆膵外科学会評議員の我々に、ご相談ください。
胆道癌(胆嚢がん・胆管癌)
胆嚢がん・胆管癌の発生機序は、さまざまあり複雑で、一概に解明されたとは言い切れません。印刷工場における有機溶剤での若い方の胆管癌の集団発生・死亡は一時期大いに話題になりました。また、わかっていることは生まれつきの膵・胆管合流異常や、総胆管拡張症、肝内胆管結石、など背景にリスクファクターのある患者さんは要注意です。
胆嚢癌では、増大傾向で10mmを超える、血流信号のある胆嚢ポリープ、陶器様胆嚢なども要注意です。
リスクの高い患者さんは、MRI(MRCP)、CT(DIC-CT)、ERCPなどの胆管像を定期的にフォローする必要があります。また総胆管拡張症や、胆管の拡張を伴わない膵胆管合流異常症を人知れず抱えている患者さんを見つけ出し、予防的に胆嚢摘出術を思考することも、我々の役割です。
また、黄疸や肝障害がある場合、結石か胆道の腫瘍(もしくは膵頭部癌)の可能性を鑑別し、減黄治療する必要がありますので、消化器病・消化器外科専門医・肝胆膵外科学会評議員の我々に、早めにご相談ください。
肝臓がん
日本・アジアに多い肝臓がんの多くは肝炎ウイルスによるものが殆どでした。
B型肝炎・C型肝炎ウイルスの有無、感染の既往、activityを評価する、採血で肝機能や腫瘍マーカーを調べる、超音波検査で調べることで、肝炎の治療~肝臓がんの予防・早期発見が功を奏すると考えられます。実際、肝炎の治療の進歩・普及と、肝臓がんの修学的治療(手術・カテーテル化学塞栓治療・ラジオ波・放射線治療)により肝臓がんによる治療成績は向上を続けています。
難治性であったC型肝炎も、もはや外来内服治療で治る時代になってきました。決してあきらめずに、肝臓専門医の我々にご相談ください。
がん死亡数(7大主要癌)
(厚生労働省 人口動態統計2014)
男性)肺がん、胃がん、大腸がん、肝臓がん、膵癌、胆のう・胆管癌、食道がん
女性)大腸がん、肺癌、胃がん、膵臓がん、乳癌、肝臓がん、胆嚢・胆管癌
部位別がん罹患数
(2012年 全国モニタリング集計
2012罹患数・率報告より)
男性)胃がん、大腸がん、肺癌、前立腺癌、肝臓がん、食道がん、膵臓がん
女性)乳癌、大腸がん、胃がん、肺癌、子宮がん、膵癌、肝臓がん
平成26年の死亡数の1位は、肺がんで約7万3,000人が亡くなっており、喫煙との関係が深いことが証明されています。大腸がんによる死者は約48,000人で、胃がんを抜いて第2位となりました。
食生活の欧米化や飲酒、運動不足などが関連していると言われています。胃がんでも約47,000人が亡くなっており、食塩摂取量との関連が指摘されています。
乳がんでは約13,000人が亡くなっておりますが、検診などで早期発見すれば比較的治りやすいがんです。子宮がんでは、約6,500人が亡くなっており、特に若い世代に子宮頸がんが増えています。
当院では、「がん」で亡くなる地域の皆様をお一人でも少なくするべく努めてまいります。